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2026/01/26
🏆 Today's Briefing
🔐 Security
Microsoft、1月の更新プログラム適用後にWindows 11が起動しなくなる問題を調査中
2026年1月のセキュリティ更新プログラムを適用した一部のWindows 11デバイスで、「UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME」エラーが発生し起動不能になる問題が報告されています。Microsoftが現在調査中であり、管理者やユーザーは更新の適用に注意が必要です。
月例パッチが原因でOSが起動しなくなるという事態は、セキュリティと安定性のトレードオフを改めて浮き彫りにします。自動更新に依存する環境では、このようなインシデントへの迅速な検知と対応計画が不可欠です。
何があった?
Microsoftが2026年1月度のセキュリティ更新プログラムを公開しましたが、これを適用した一部のWindows 11環境で起動不能に陥る障害が報告されています。具体的なエラーは「UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME」であり、OSの根幹に関わる深刻な問題です。同社は現在この問題を公式に認め、調査を進めています。
影響を受ける範囲
Windows 11を利用する個人および法人ユーザーが対象です。特に、WSUSやIntuneなどで更新プログラムを集中管理している企業では、広範囲の端末が一斉に影響を受ける可能性があります。現時点では、問題が発生する特定のハードウェア構成や条件は不明です。
今すぐやるべき対策
まだ更新プログラムを適用していない場合、組織内でのテストが完了するまで展開を一時停止することを強く推奨します。既に問題が発生した場合は、セーフモードでの起動や、Windows回復環境からの更新プログラムのアンインストール、システムの復元などを試す必要があります。Microsoftからの公式なガイダンスを待つのが最善策です。
今後の注目点
Microsoftが修正パッチをいつ提供するか、また、問題の根本原因が何であったかが焦点となります。このような品質問題が頻発すると、パッチ適用の即時性というセキュリティの基本方針そのものが見直される可能性も否定できません。
✍ Aya Aegis
参考:
Microsoft investigates Windows 11 boot failures after January updates
🧩 OSS
FOSDEM 2026、焦点は資金調達・AI・政治へ。オープンソースの未来を占う一大イベント
欧州最大級のオープンソースカンファレンス「FOSDEM 2026」が1月末にベルギーで開催されます。1000人以上の講演者と1万人規模の参加者が集うこのイベントでは、今年は特に資金調達、AI、政治が中心テーマとなり、OSSエコシステムの持続可能性と未来の方向性が議論される見込みです。
FOSDEMは単なる技術発表の場ではなく、オープンソースコミュニティが直面する現実的な課題を共有し、解決策を模索する重要な機会です。特にAIの台頭や経済的な不確実性が増す中で、OSSの持続可能性は開発者にとって切実な問題。今年の議論は、今後のプロジェクト運営やキャリアを考える上で重要なヒントを与えてくれるかもしれません。
何があった?
ヨーロッパ最大級のオープンソースカンファレンス「FOSDEM 2026」が、1月末にブリュッセルで開催されます。今年は1000人以上のスピーカーと1万人に迫る参加者が見込まれており、その熱気は年々高まっています。イベントは参加登録不要かつ無料で、誰でも自由に参加できるオープンなスタイルが魅力です。
背景
2000年から続くFOSDEMは、開発者や企業がオープンソースとLinuxについて語り合う伝統的な場です。しかし近年、技術的なトピックだけでなく、エコシステムを支える資金調達のあり方や、AIがもたらす影響、さらには政治的な側面にも注目が集まっています。コミュニティが成熟し、社会におけるOSSの役割が大きくなったことの表れと言えるでしょう。
ポイント
今年のFOSDEMでは、特に「資金調達」「AI」「政治」が中心的なテーマとなるようです。これは、オープンソースプロジェクトが単なる趣味の領域を超え、いかにして持続可能な活動として成立させるかという、コミュニティ全体の大きな課題を反映しています。技術共有に留まらない、OSSの未来を占う重要な議論が期待されます。
✍ Haru Light
参考:
Funding, AI and Politics Take Center Stage at FOSDEM 2026
🔐 Security
ロシアのハッカー集団Sandworm、ポーランドのエネルギーシステムへのワイパー攻撃に関与か
ロシア政府が支援するハッカー集団「Sandworm」が、2025年12月にポーランドの電力網を標的としたサイバー攻撃に関与したと報告されました。攻撃では「DynoWiper」と呼ばれる新型のデータ破壊マルウェアが使用された模様ですが、幸いにも失敗に終わったとされています。
国家が支援する攻撃者が、金銭目的ではなく物理的な社会インフラの破壊を狙っていることを示す事例です。特にエネルギー分野は標的になりやすく、ICS/OT環境におけるセキュリティ対策の重要性を再認識させられます。
何があった?
ロシアの国家支援型ハッカー集団「Sandworm」が、2025年後半にポーランドのエネルギーシステムを標的としたサイバー攻撃を実行したと報じられました。この攻撃では、データを完全に消去する目的の新しいワイパー型マルウェア「DynoWiper」が使われましたが、幸いにも攻撃は未遂に終わったとみられています。
誰に関係ある?
電力、ガス、水道などの重要インフラを運営する事業者にとって、極めて重要な情報です。また、国家間の緊張が高まる中で、地政学的リスクがサイバーセキュリティに直結することを示す事例として、すべてのセキュリティ担当者が認識すべき内容と言えます。
どこが重要?
攻撃の目的が情報の窃取や金銭ではなく、社会機能の麻痺を狙った「破壊活動」である点が最も重要です。また、ウクライナ侵攻でも暗躍したSandwormが、NATO加盟国であるポーランドの重要インフラを標的にしたことは、サイバー攻撃が物理的な紛争と連動している現実を突きつけています。
今後の注目点
今回の攻撃がどのように検知され、防がれたのかという詳細な分析が待たれます。成功した防御策を学ぶことは、他の重要インフラ事業者にとって貴重な知見となります。また、Sandwormが今後も同様の攻撃を他国で試みる可能性は高く、警戒を続ける必要があります。
✍ Aya Aegis
参考:
Sandworm hackers linked to failed wiper attack on Poland’s energy systems
🔐 Security
自動車への新たなハッキング手法が発見される:複数の攻撃経路を実証
最新のハッキングコンテスト「Pwn2Own Automotive」で、研究者たちが自動車のインフォテインメントシステムやEV充電器に存在する多数の脆弱性を悪用する手法を実演しました。コネクテッドカーの攻撃対象領域が拡大し続けていることが示されました。
自動車が「走るコンピュータ」となるにつれ、その脆弱性は物理的なものからデジタルな領域へと移行しています。インフォテインメントシステムのようなサードパーティ製コンポーネントや、充電器といった外部インフラまで含めたサプライチェーン全体でのセキュリティ対策が急務です。
何があった?
自動車セキュリティに特化したハッキングコンテスト「Pwn2Own Automotive 2026」にて、研究者たちが多数の新たな脆弱性を発見・実証しました。主な標的は、車載インフォテインメントシステム(IVI)や、電気自動車(EV)の充電器でした。
影響を受ける範囲
自動車メーカー、部品サプライヤー、EV充電インフラ事業者、そしてコネクテッドカーを利用する一般ドライバーまで、広範囲に関わる問題です。特に、ソフトウェアによって制御される機能が増えるほど、影響範囲は拡大します。
ポイント
攻撃経路が多様化している点が重要です。かつての自動車ハッキングは物理的な接続を要するものが多かったですが、現在はWi-FiやBluetooth、さらにはEV充電器を経由した遠隔攻撃も現実的な脅威となっています。これは、自動車が単体で完結した製品ではなく、様々な外部システムと連携するIoTデバイスの一種になったことを意味します。
今後の注目点
自動車業界全体で、ソフトウェアの脆弱性管理プロセス(PSIRTの設置など)をいかに標準化していくかが課題です。また、OTA(Over-The-Air)による迅速なセキュリティアップデートの提供能力が、メーカーの競争力を左右する重要な要素となるでしょう。
✍ Aya Aegis
参考:
Swipe, Plug-in, Pwned: Researchers Find New Ways to Hack Vehicles
🔐 Security
パスワード管理ツール「1Password」、フィッシングサイトの疑いがある場合に警告を表示する新機能を追加
パスワード管理ツール「1Password」に、フィッシング詐欺からユーザーを保護するための新機能が追加されました。疑わしいURLでパスワードを自動入力しようとすると警告ポップアップが表示され、認証情報の窃取を防ぎます。
パスワード管理ツールが単なる「金庫」ではなく、ユーザーの行動に介入してリアルタイムで保護する「警備員」の役割を担い始めたことを示す好例です。最もリスクが高い認証情報の入力時に直接警告することで、被害を未然に防ぐ効果が期待できます。
何があった?
パスワード管理ツールの主要製品である「1Password」が、フィッシングサイト対策機能を強化しました。ユーザーがフィッシングの疑いがあるWebサイトで認証情報を入力しようとすると、警告メッセージをポップアップ表示し、注意を促す仕組みです。
誰に関係ある?
1Passwordの全ユーザー、およびパスワード管理ツールの導入を検討している個人・法人にとって有益な情報です。特に、従業員のセキュリティ教育に課題を抱える企業にとっては、ツール側でリスクを低減できるため重要です。
どこが重要?
この機能は、従来のブラウザの警告機能とは異なり、パスワードを保存しているドメインと実際にアクセスしているドメインの不一致を検知して警告する点が特徴です。これにより、巧妙に偽装されたフィッシングサイトに対する防御力が高まります。
私の視点
パスワード管理ツールは、パスワードレス化が進む過渡期において依然として重要な役割を担います。単に複雑なパスワードを生成・保管するだけでなく、今回のような能動的な保護機能を提供することが、今後のツール選定における重要な基準となるでしょう。
✍ Aya Aegis
参考:
1Password adds pop-up warnings for suspected phishing sites
🔐 Security
ShinyHunters、OktaやMicrosoftのSSOアカウントを標的にしたデータ窃盗攻撃を主張
恐喝集団ShinyHuntersが、OktaやMicrosoftなどのシングルサインオン(SSO)アカウントを標的とした音声フィッシング(ビッシング)攻撃を実行したと主張しています。この攻撃により、企業のSaaSプラットフォームに侵入し、データを窃取している模様です。
SSOやMFAといった強力な技術的対策も、人間を標的とするソーシャルエンジニアリングによって迂回され得ることを示す事例です。音声という古典的な手法で従業員を騙しアクセス権限を奪う攻撃は、継続的なセキュリティ教育とゼロトラスト原則の徹底がいかに重要かを物語っています。
何があった?
攻撃グループ「ShinyHunters」が、OktaやMicrosoftなどの主要なIDプロバイダーのシングルサインオン(SSO)アカウントを狙った一連の攻撃に関与していると主張しました。攻撃手法は、電話で従業員を騙して認証情報を聞き出す「ビッシング(ボイスフィッシング)」が中心とされています。
影響を受ける範囲
OktaやAzure AD(Entra ID)などのSSOソリューションを導入しているすべての企業が潜在的な標的です。特に、ヘルプデスクやIT部門の担当者が、正規のユーザーからの問い合わせを装った攻撃者に騙されるリスクがあります。
どこが重要?
攻撃者が、MFA(多要素認証)を突破するために人間の心理的な隙を突いている点です。MFAプッシュ通知を繰り返し送りつけて疲労させ承認させる「MFA疲労攻撃」や、ITサポートを装ってMFAコードを聞き出すなど、巧妙な手口が使われています。
今すぐやるべき対策
ヘルプデスクの本人確認プロセスを再点検し、強化することが急務です。また、従業員に対し、安易にMFAの承認をしないこと、IT部門を名乗る不審な電話で認証情報を伝えないことなど、具体的な防衛策を改めて周知する必要があります。
✍ Aya Aegis
参考:
ShinyHunters claim hacks of Okta, Microsoft SSO accounts for data theft
🌍 Society
2025年の教訓:システムだけでなく「人間の意思決定」を守る時代へ
サイバーセキュリティの焦点は、単にシステムやデータを保護するだけでなく、人間そのものの意思決定プロセスを守ることへと進化する必要があります。特に、プレッシャー下やシステム障害時における判断をいかに支援するかが今後の課題です。
これは、セキュリティを純粋な技術的問題として捉える視点から、人間をシステムの構成要素として認識する社会技術的な視点への重要な転換です。「人間はバグではなく仕様である」と捉え、彼らが安全な判断を下せるようなツールやプロセスを設計することが求められます。
何があった?
2025年を通じて発生した多くのサイバーインシデントは、従来のシステム中心の防御アプローチの限界を露呈させました。この記事では、これからのサイバーセキュリティは、システムだけでなく、不確実な状況下で判断を下す「人間」を保護することに重点を移すべきだと提言しています。
誰に関係ある?
経営層からセキュリティ担当者、そして一般の従業員まで、組織に属するすべての人に関わるテーマです。特に、セキュリティ戦略を立案するCISOやマネージャー層にとっては、今後の投資方針を考える上で重要な視点となります。
ポイント
セキュリティ対策の目的を「インシデントをゼロにすること」から、「インシデント発生時に人間が正しい判断を下せるように支援すること」へとシフトさせるべきだという主張が核心です。これは、完璧な防御は不可能であるという前提に立ち、インシデント発生後の対応力(レジリエンス)を高める考え方に基づいています。
今後の注目点
今後、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の設計思想が、セキュリティ分野でより重要になるでしょう。例えば、フィッシングメールを単にブロックするだけでなく、なぜそれが危険なのかをユーザーが直感的に理解できるような警告の出し方などが研究されるはずです。
✍ Aya Aegis
参考:
2025 Was a Wake-Up Call to Protect Human Decisions, Not Just Systems
🎬 Entertainment
金曜恒例イカブログ:スタートレックの世界に登場した巨大イカ
著名なセキュリティブログ「Schneier on Security」の金曜恒例の雑談投稿。今回はスタートレックのコミックに登場した巨大な宇宙イカがテーマです。読者が自由にセキュリティ関連の話題を議論する場としても機能しています。
トップレベルの専門家でも、コミュニティ形成や息抜きの重要性を理解していることがわかります。このような一見無関係な投稿が、読者のエンゲージメントを高め、公式な分析記事と同じくらい価値のある非公式な議論の場を生み出しています。
何があった?
セキュリティ専門家ブルース・シュナイアー氏のブログで恒例となっている、金曜日のイカに関する投稿です。今回は、コミック版「スタートレック」に登場した巨大な宇宙イカについて紹介しています。
誰に関係ある?
シュナイアー氏のブログの長年の読者や、セキュリティコミュニティの文化に興味がある人向けの話題です。直接的な技術情報やセキュリティ脅威に関する内容ではありません。
ポイント
この投稿は、ブログのコメント欄をオープンな議論の場として提供する役割も担っています。記事本文とは関係なく、読者がその週に気になったセキュリティニュースについて自由に意見交換することができます。専門ブログにおけるユニークなコミュニティ運営の手法と言えるでしょう。
私の視点
専門性の高い分野においても、こうした遊び心やコミュニティを育む場は非常に重要です。技術的な情報交換だけでなく、人と人との繋がりが、結果的により強固なセキュリティ文化を醸成することに繋がるのかもしれません。
✍ Aya Aegis
参考:
Friday Squid Blogging: Giant Squid in the Star Trek Universe
✒️ 編集後記
我々が構築してきた利便性の高い社会は、裏を返せば、単一障害点(Single Point of Failure)を無数に抱えた巨大なシステムにほかならない。OSのアップデート、統合認証(SSO)、コネクテッドカー。これらは効率化の象徴であると同時に、一度崩れれば連鎖的に破綻を招く危うさを内包する。今日の脅威は、もはや個別の脆弱性を突くのではない。システム全体の信頼構造そのものを標的としているのである。技術の進化とは、この根源的な脆弱性と向き合い、しなやかな回復力を設計に織り込む不断の闘争である。