🗓 Security Digest: 2025/12/23
💬 サイバーセキュリティの話題が尽きない一日となりましたね。狙われるのは企業のサーバーだけでなく、私たちの使うPCやネットワーク機器そのもの。まさにデジタル社会のインフラ全体が試されているようです。一方で、AI技術の進化や、開発者のリアルな葛藤を描いた記事もあり、テクノロジーの光と影を映し出しています。今日のニュースから、時代の大きなうねりを読み解いていきましょう。
🏆 Latest Issue
🔐 Security

攻撃者がWatchGuard Fireboxデバイスのゼロデイ脆弱性を悪用

重大なファイアウォールの脆弱性への攻撃が発生し、WatchGuard社が最近数週間で標的とされたエッジデバイスベンダーのリストに加わりました。境界防御の要であるファイアウォールが危険に晒されており、多くの企業が影響を受ける可能性があります。

ファイアウォールのような境界防御の要となる機器の脆弱性は、侵入の直接的な足がかりとなるため極めて重要度が高いです。特にゼロデイ攻撃が確認されている状況では、パッチが提供されるまでの間、不正アクセスの兆候を監視するなど、通常以上の警戒が求められます。


WatchGuard社のファイアウォール製品「Firebox」シリーズに未公開のゼロデイ脆弱性が発見され、すでに攻撃者による悪用が確認されています。これにより、外部からの不正アクセスの危険性が高まっています。


Fireboxアプライアンスを導入しているすべての組織が影響を受ける可能性があります。特に、インターネットとの境界に設置している場合、リスクは非常に高いと言えます。


WatchGuardからの公式情報を常に確認し、セキュリティパッチがリリースされ次第、即座に適用する必要があります。それまでの間は、不審な通信パターンがないかログを注意深く監視し、必要に応じてアクセス制限を強化することを検討すべきです。


エッジデバイスを狙った攻撃は定番化しており、今後も続くと考えられます。自組織が利用する機器の脆弱性情報には、常にアンテナを張っておくことが重要です。

参考: Threat Actors Exploit Zero-Day in WatchGuard Firebox Devices

🧠 AI

GLM-4.7: コーディング能力の進化

Zhipu AIが、コーディング能力を大幅に向上させた新しい大規模言語モデル「GLM-4.7」を発表しました。このモデルは、より複雑なプログラミングタスクをこなし、開発者の生産性をさらに高めることを目指しています。

Zhipu AIが発表した新モデルGLM-4.7は、AIによるコード生成の精度と実用性をさらに一歩前進させるものです。開発現場でのAIの役割が、単純なスニペット生成から、より複雑なロジックを担うパートナーへと変化していく可能性を示しており、今後の性能評価が注目されます。


中国のAI企業Zhipu AIが、コーディング能力を大幅に強化した新モデル「GLM-4.7」を発表しました。AIによるソフトウェア開発の効率化がさらに加速しそうです。


GitHub Copilotを筆頭に、AIによるコード生成は急速に普及しています。しかし、複雑な文脈の理解やバグのないコードの生成にはまだ課題も多く、各社が性能向上を競っている状況です。


GLM-4.7は、特にコード生成の精度と、より長い文脈を理解する能力に焦点を当てて開発されたようです。これにより、開発者は定型的な作業をAIに任せ、より創造的な問題解決に集中できるようになるかもしれません。


コード生成AIの性能向上は、ソフトウェア開発の生産性に直結します。もしこのモデルが謳い文句通りの性能を発揮すれば、開発の現場で利用されるツールセットに変化が起きる可能性も。今後のサードパーティによるベンチマーク結果に注目したいところですね。

参考: GLM-4.7: Advancing the Coding Capability

🧑‍💻 Developer

「誰もがもがきながら進んでいる」- GNOMEインターンの体験談

GNOMEのインターンが、巨大なコードベースを前にした自身の苦悩と学びを綴っています。誰もが最初はもがき、困難に直面するのは失敗の証ではなく成長の過程であること、そして助けを求めることの大切さを伝える、多くの開発者の心に響くメッセージです。

技術的なTipsではなく、開発者がキャリアの初期段階で直面する「インポスター症候群」やプレッシャーといった普遍的な課題に光を当てる記事。特に大規模で歴史あるプロジェクトに参加する際の心理的な壁と、それを乗り越えるプロセスが赤裸々に語られており、多くの初学者やメンターにとって共感と学びの多い内容と言える。


GNOMEプロジェクトに参加したインターンの方が、新しい環境と大きなコードベースに圧倒されながらも、その苦悩が成長の証だと気づくまでの心境をブログで共有してくれました。誰かと比べて焦る気持ち、すごくよく分かりますよね。


この記事の素敵なところは、「苦しむのは自分だけじゃない」というシンプルな真実を思い出させてくれる点です。自信満々に見えるベテラン開発者だって、同じような道を歩んできたんですよね。技術的な壁だけでなく、メンタル面でのつまずきを言語化してくれたことに大きな価値があると思います。


新しいプロジェクトに参加した時、「こんなことも知らないのか」と思われるのが怖くて質問をためらってしまう…。そんな経験、ありませんか?この記事は、勇気を出して助けを求めることが、結果的に自分とチームの両方を成長させる近道だと教えてくれます。行き詰まったら、それは一人で抱え込まずに共有するサインなのかもしれませんね。

参考: Asman Malika: Everybody Struggles

🔐 Security

マイクロソフト、ついにRC4暗号を廃止へ

26年の時を経て、マイクロソフトはWindowsに残る最後のRC4暗号アルゴリズムの利用を廃止するアップグレードを決定しました。この古い暗号は長年セキュリティ上の弱点とされ、Kerberoasting攻撃などに悪用されてきました。今回の決定により、多くの企業ネットワークのセキュリティが向上することが期待されます。

長年リスクとして指摘されてきた古い暗号方式の廃止は、業界全体のセキュリティ水準を底上げする重要な一歩です。しかし、レガシーシステムとの互換性のために意図的に古い設定を残している環境では、廃止に伴う影響調査と対応計画が必要になります。


マイクロソフトが、Windowsにおける古い暗号アルゴリズム「RC4」のサポートを、ついにデフォルトで無効化する方針を発表しました。2014年から知られている「Kerberoasting」攻撃の根本原因の一つであり、長年セキュリティ上のリスクと見なされてきました。


Windows ServerおよびActive Directoryを運用するすべてのシステム管理者が対象です。特に、古いシステムとの互換性のためにRC4を意図的に有効化している環境では、事前の影響評価が不可欠です。


安全でない暗号方式がデフォルトで使えなくなることで、多くの組織のセキュリティレベルが底上げされます。一方で、何も知らずに古いシステムに依存している場合、認証エラーなどの問題が発生する可能性も考えられます。


この変更がどのWindows Updateで適用されるか、具体的なスケジュールを注視する必要があります。管理者は、自社の環境でRC4に依存するアプリケーションやサービスがないか、今のうちから棚卸しを進めておくべきでしょう。

参考: Microsoft Is Finally Killing RC4

🔐 Security

新型マルウェア「MacSync」、macOSのGatekeeperチェックを回避

macOSを標的とする情報窃取型マルウェア「MacSync」の最新亜種が、デジタル署名および公証済みのSwiftアプリケーションを介して配布されていることが判明しました。正規アプリを装うことで、macOSのセキュリティ機能であるGatekeeperを回避してしまいます。

Appleの公証システムを通過したマルウェアが登場したことは、macOSのセキュリティモデルに対する信頼を揺るがす事態です。ユーザーは、正規ストア以外からダウンロードしたアプリケーションの実行には、開発元が信頼できる場合でも、より一層の注意を払う必要があります。


macOSユーザーの情報を盗むマルウェア「MacSync」の新しい亜種が発見されました。このマルウェアは、Appleによる正規の審査(公証)を通過したアプリケーションとして配布されており、セキュリティ機能「Gatekeeper」の警告を回避して実行されてしまいます。


すべてのmacOSユーザーが標的となり得ます。特に、開発者向けツールや非公式なルートからソフトウェアをダウンロードする習慣のあるユーザーは、感染リスクが高まります。


Appleの公式なセキュリティチェックをすり抜けている点が最も深刻な問題です。これにより、多くのユーザーが安全なアプリケーションだと誤信してインストールしてしまう危険性があります。署名や公証だけでは、もはや安全性を100%保証できないという実例です。


アプリケーションのダウンロード元をApp Storeに限定するか、開発元の公式サイトなど、信頼できる場所に限定することが基本的な対策となります。少しでも怪しいと感じたアプリケーションは、インストールしないようにしてください。

参考: New MacSync malware dropper evades macOS Gatekeeper checks

🔐 Security

国際刑事警察機構主導の作戦でランサムウェア6種を復号、数百人を逮捕

国際刑事警察機構(インターポール)が調整した「センチネル作戦」により、ビジネスメール詐欺、恐喝、ランサムウェア事件に関連して574人が逮捕され、300万ドルが回収されました。この国際協力により、6種類のランサムウェアの復号にも成功しています。

ランサムウェアのような国境を越えるサイバー犯罪に対して、法執行機関の国際協力が具体的な成果を上げている好例です。復号ツールの開発は被害者救済に直結し、犯罪グループの収益モデルに打撃を与える効果が期待できます。


国際刑事警察機構(インターポール)が主導する国際的な共同作戦「センチネル作戦」が実施されました。この作戦を通じて、サイバー犯罪に関与した574人が逮捕され、6種類のランサムウェアに対する復号ツールが開発されたと発表されています。


ランサムウェアの被害に遭った、あるいは将来被害に遭う可能性のあるすべての組織に関係するニュースです。特に、今回復号ツールが開発された6種類のランサムウェアの被害者は、データを取り戻せる可能性があります。


この作戦の成功は、サイバー犯罪がもはや単一国では対処できないグローバルな課題であり、国際的な連携が不可欠であることを示しています。犯罪者の逮捕だけでなく、被害回復のための復号ツール開発まで踏み込んでいる点が重要です。


どのランサムウェアファミリーの復号ツールが開発されたか、詳細な情報が公開されるか注目されます。「No More Ransom」プロジェクトなどを通じて、これらのツールが一般に提供されることになるでしょう。

参考: Interpol-led action decrypts 6 ransomware strains, arrests hundreds

🔐 Security

日産、Red Hatの情報漏洩事件で数千人規模の顧客情報が流出したと発表

日産自動車は、9月に発生したRed Hatのデータ侵害事件の余波で、数千人規模の顧客情報が漏洩したことを認めました。サプライチェーンを構成するベンダーのセキュリティインシデントが、顧客データにまで影響を及ぼした形です。

自社のセキュリティを固めていても、サプライヤーのインシデントによってデータ漏洩が発生しうるという、サプライチェーンリスクの典型的な事例です。今後は、自社だけでなく、取引先や利用するサービスのセキュリティ体制の評価・管理が、企業にとってより一層重要になります。


日産自動車が、取引先であるRed Hat社で9月に発生したデータ侵害の結果、数千人分の顧客情報が影響を受けたことを公式に発表しました。サプライチェーンを介した情報漏洩インシデントとなります。


報告されている情報漏洩の対象となった日産の顧客です。また、これは他社にとっても他人事ではなく、取引先のセキュリティ体制に依存するすべての企業が同様のリスクを抱えています。


このインシデントは、自社の防御をどれだけ固めても、取引先が攻撃されれば情報漏洩につながる「サプライチェーンリスク」の恐ろしさを明確に示しています。ベンダー選定や契約において、セキュリティ要件を盛り込むことの重要性が浮き彫りになりました。


多くの企業がSaaSやクラウドサービスを利用する現代において、サプライチェーンリスクは避けて通れません。利用するサービスのセキュリティ評価や、万が一のインシデント発生時の連携体制を、平時から確認しておくべきです。

参考: Nissan says thousands of customers exposed in Red Hat breach

🔐 Security

ウズベキスタンのユーザー、AndroidのSMS情報を窃取するマルウェアの標的に

ウズベキスタンのTelegramユーザーを標的とし、AndroidデバイスからSMSメッセージを盗み出すマルウェアによる攻撃が報告されています。攻撃者はその手口を巧妙化させており、被害の拡大が懸念されます。

SMSは二要素認証(2FA)の手段として広く使われていますが、デバイスがマルウェアに感染すれば、その認証コードごと盗まれてしまうリスクがあります。認証アプリやハードウェアキーなど、より安全な2FA手段への移行を検討するきっかけとなる事例です。


ウズベキスタンにおいて、メッセージングアプリ「Telegram」のユーザーを狙い、Androidデバイス上のSMSメッセージを盗むマルウェアが広まっています。攻撃手法は継続的に改善されているとのことです。


直接の標的はウズベキスタンのユーザーですが、SMSを認証に使うすべてのAndroidユーザーにとって注意すべき手口です。SMSで送信される二要素認証のワンタイムコードなどが、主な窃取対象と考えられます。


この攻撃は、SMSベースの二要素認証(2FA)が、デバイスのセキュリティに完全に依存するという弱点を突いています。マルウェアに感染してしまえば、SMSで送られる認証コードは攻撃者の手に渡ってしまい、アカウント乗っ取りにつながる危険性があります。


金融機関の認証など、いまだにSMSに依存しているサービスは少なくありません。可能であれば、TOTP方式の認証アプリや、FIDO2/WebAuthnなどの物理キーを利用する、より強固な認証方式へ切り替えていくことが推奨されます。

参考: Uzbek Users Under Attack by Android SMS Stealers

✒️ 編集後記
本日報じられた数々のセキュリティインシデントは、氷山の一角に過ぎない。問題の本質は、レガシーシステムから最新デバイスまで、デジタル社会の至る所に存在する「攻撃対象領域」の際限なき拡大である。攻撃者はその一点を突き、防御側は全方位を守らねばならない。この非対称な戦いに終わりはない。故に、真の安全保障とは、技術的な対策の積み重ねだけでなく、この構造的脆弱性を社会全体のコストとして認識し、向き合い続ける覚悟そのものなのである。